未成年の子どものいるご夫婦が離婚するときには、子どもの親権者を決めなければなりません。親権者と監護権者を分けて離婚するケースも稀にあります。
今回は親権と監護権の違いや親権者の決め方について、解説します。
このページの目次
親権と監護権
親権とは
親権とは、子どもと同居して養育監護を行い、財産を管理する権利です。
親権者には以下のような権利や義務が認められます。
- 子どもの居所を指定(民法821条)
- 子どもが働くのを許可する(民法823条)
- 子どもを懲戒する(民法822条)
- 子どもの財産を管理する(民法824条)
- 子どもの代理で財産に関する法律行為を行う(民法824条)
親権を大きく分類すると、身上監護する権利と財産管理する権利の2つに分けられます。
夫婦の婚姻中は、両親に親権が認められるので、上記のような行為は両親が協力して行います。しかし離婚すると一方の親にしか親権が認められないので、どちらかを親権者に指定しなければなりません。
監護権とは
監護権は、子どもと一緒に住んで養育監護する権利です。
親権のうち身上監護権を切り離したものと理解するとよいでしょう。
親権と監護権を分けない場合は、親権に監護権も含まれます。
離婚前に両親が別居するとき、子どもと一緒に住む親を監護権者と指定するケースもあります。
親権者と監護権者を分ける意味
親権者と監護権者を分けるとき、よくある理由は夫婦の双方が親権を主張するときにトラブルを解決するためです。
両親ともに親権者になりたいと希望している場合は、なかなか話し合いでは解決できません。
どちらかが親権者、どちらかが監護権者となれば、いずれの親にも権利が認められるのでお互いが納得しやすくなります。
ただ、親権者は財産管理できるだけで、子どもと一緒に住めるわけではありません。一方、監護権者は財産管理できないので、預金や保険などの手続きはすべて別居親に依頼しなければなりません。
親権者と監護権者を分けても、離婚前と同じ権利が認められるわけではないのです。
親権者の決め方
親権者は、両親がお互いに話し合って決めるのが基本です。
両方が親権を希望して話し合いができない場合は、調停を申し立てて話し合いを継続します。
それでも決められなければ、最終的に離婚訴訟で裁判所が親権者を指定します。
裁判所の判断基準
以下のような条件を満たすと、親権者として認められやすい傾向があります。
- これまでの養育実績が高い
- 子どもとの関係が良好
- 配偶者と別居した後も、現実に子どもと一緒に暮らしていて養育環境に問題がない
- 面会交流に積極的
- 経済状態や心身の状態が良好
- 子どもが乳幼児の場合、母親が優先されやすい
- 子どもが15歳以上になると、子どもの意思で親権者を決定できる(10歳程度を超えると子どもの希望が尊重されやすくなる)
裁判所で親権を決める場合には、「調査官」による調査の結果が重要視されます。
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