不倫慰謝料を請求され、すべての支払いが済んだあと、不倫相手に求償権を行使できる可能性があります。
求償権を行使すると、支払った慰謝料の一部を取り戻せるので、経済的なメリットがあります。
ただし、示談する時に求償権を「放棄」していたら、求償権を行使できなくなってしまいます。
ここでは、慰謝料を支払った後に請求できる求償権について、ご説明します。
このページの目次
1.求償権とは
求償権とは、連帯債務者や連帯保証人が自分の負担部分を超えて支払いをしたときに、他の債務者や主債務者へ返還請求できる権利です。
不倫(不貞)の慰謝料は、不倫をした当事者間の「不真正連帯債務」という、連帯債務の一種に分類されます。
連帯債務の場合、それぞれの債務者には「負担部分」があり、自分の負担部分を超えて支払った場合には他の連帯債務者へ支払いを請求できます。その返還請求権が求償権です。
たとえば、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されて300万円支払った場合、不倫相手の負担部分が150万円であれば、不倫相手に対して150万円の求償が可能となります。
不倫相手との関係が終わっている場合などには、求償権を行使する経済的なメリットが大きくなるでしょう。
2.求償権を行使できない場合
以下のような場合、求償権を行使できなくなるので注意が必要です。
2-1.示談の際に求償権を放棄した
不倫相手の配偶者と示談をするときに、求償権の「放棄」を示談の条件とされるケースがあります。
相手の条件を受け入れて求償権を「放棄」してしまったら、後に不倫相手に求償できません。
後で不倫相手に求償をしたい場合は、求償権を放棄してはいけません。
2-2.求償権の時効が成立した
求償権には時効があります。
通常は「請求できることを知ってから5年」なので、慰謝料を支払ってから5年で請求できなくなると考えましょう。
求償権を行使したい場合は、早めに請求する必要があります。
3.求償権を行使する方法
3-1.相手に請求する
まずは不倫相手に連絡して、求償権を行使することを伝え、支払いを請求しましょう。
相手が求償権の意味を理解していない場合には、まずは説明を行う必要があります。
3-2.話し合う
相手が求償権の行使に理解を示したら、話し合って条件を決めなければなりません。
問題となるのは「お互いの負担割合」です。話し合いで解決するには、お互いの責任割合に応じて自分たちで負担割合を決める必要があります。
通常は、負担割合を五分五分にすることが多いのですが、一方の責任が特に大きい場合など、負担割合をどの程度にすればよいかわからないときには、弁護士にご相談ください。
3-3.訴訟を起こす
相手がどうしても求償に応じない場合は、訴訟を起こして求償権を行使することも可能です。
不倫トラブルは、弁護士によるサポートを受けると有利に解決できる可能性が大きく高まります。不倫や浮気問題にお困りの方がおられましたら、お気軽に法律事務所エクラうめだまでご相談ください。